お疲れ様です、夕霧です。
夏らしくない天気と気温のおかげですっかり夏であることを忘れていたけれど、巷の学校では夏休みが始まる時期だそうですね。
高校生1年生のときに、やたらと担任の先生が「いいか、もう君たちに与えられた夏休みはあと3回、大学に行く人にはあと7回しかいないんだぞ」と急き立てるように口にしていた意味がこの歳になってやっとわかった気がします。
ああ、あの頃に戻りたい――と一瞬思ったけれど、あの頃はいかんせんお金がないのでやっぱり嫌だな。
自分が小学生だった時の夏休みを思い返したときにぼんやり蘇る光景は、日中に学校のプールに行き、その帰りに学校の図書室に寄って本を借りていた記憶。
夏の図書室は自分の家よりクーラーがきいていて、それに独特な本のにおいもしていて、なんとなく落ち着く空間だった気がします。
さて、小学生の夕霧が――もとい、当時クラスの、それも女子たちの間で流行っていた本が江戸川乱歩シリーズでした。
少年探偵団の小林くん(名前を今でも覚えてた!)とか、明智先生が出てくるあれです。
今でいうスクールカースト上位のおしゃれ系女子も中流女子も、みんなこぞって一通り読んでいたのだから「さすが文豪、乱歩先生」なわけです。
国語便覧に名前が載る人は只者ではない。
例にもれず当時私も一通り読破しまして、それもたぶん2~3周は読んでいて、今ではすっかりどんな話か覚えていない作品も多いのだけれど(だって20年ほど前の話よ)、鮮明に覚えているもの、表紙絵だけ覚えているもの、不気味な雰囲気だけ覚えているもの、などがあるので3作品だけ回顧させてください。
(児童書なので、思いっきりネタバレに触れます。)
【No.1】魔法人形
まずこの表紙の不気味なイラストですよね。
一度見たら忘れられない、今でも夢にでてきそうな怖さがあります。
ストーリーもたしか、女の子を攫ってきて人間を人形に変える薬を打つ、という幼心に衝撃的にサイコパスな話でした。
薬を打たれてしまった女の子が攫われたての女の子に、自分がこれから人形になることを話して聞かせるシーンに、ゾッとしたことを覚えています。
ちなみに大人になるとずいぶんと冷静になるもので、「臓器取り出さないと痛むんじゃない?」とか「そもそもどんな化学薬品よ?化学式は?」とか残酷で野暮なつっこみが次々と出てくるのですが、これは現代刑事ドラマやアンナチュラルのような医学ドラマを見すぎたせい。
オチが「人間が人形になる不思議な怖い薬です」では納得しないのが令和の民です。
【No.2】塔上の奇術師
これはすごい好きで、当時、月額100円のお小遣いをためて近所の本屋で取り寄せまでして買いました。
小林くんと対をなす少女探偵のマユミさんが大活躍するんですけれど、「時計塔といういかにも複雑な構造で隠し部屋とか隠し扉がありそうな建物舞台」に、わくわくしたんですよね。
他の作品同様にこれも怪人二十面相が出てくるんですけれど、珍しく変装のシーンが描かれているのはこの作品だった気がする。
二十面相、メイク道具がまさかの絵具なんですよね。
絵具パレットに絵具を出して、筆で色を混ぜて顔に塗るシーンがあるのだけれど、顔がバリバリになるし色素沈着するからやめなさいよ、って言いたい。
変装の名人ならお肌のコンディションは大事にしなさい、って言いたい。
しかも変装メイクしながらいうセリフが「変装しすぎてどれが自分の本当の顔かわすれちゃったぜ(記憶)」ですよ。
いや、メイク落とした顔があなたの顔でしょ。
でもこういう間抜けさがないと、小学生に怪人二十面相は怖すぎるのでしょう。
【No.3】白い羽根の謎
これは、もうストーリーは全く微塵も覚えていないのだけれど、この表紙は本当に鮮明に覚えています。
「白い羽根の謎」という話の内容が全然推測できない抽象的なタイトルに、色白の美人、崖から落ちる男、そしてなんか尋常じゃない様子のジャンパーの男。
ストーリーの予想がつかな過ぎて、でも不穏な空気が漂いすぎていて、強烈ではないでしょうか(とくに美人の目力が怖い)。
ちらっとあらすじをググったのですが、白い羽根で脅されている人が登場するところから話が始まるようです。
いや、情報量が少なすぎて全然わからない。
白い羽根で脅すってどういうこと?
昔の新聞記事とか写真で脅すとかならわかるけれど、羽根で脅せるの?
でも一つ確かに覚えているのは、先の2作と違って、この絵のタッチが表紙のシリーズは、犯人が怪人二十面相ではなくおまけに殺されてしまう人が出るんですよ。
だからたぶん、単純なストーリーではないと思う。
ストーリーを覚えている方がいたら教えてください。
では、本日はこれにて。